どうして賛成したのかと問い合わせをいただいているので、賛成討論を以下に添付します。
川越市重度心身障害者医療支給に関する条例の一部を改正する条例を定めることについて
賛成の立場から討論します。
川越市重度心身障害者医療制度は、心身に重度の障害がある方に、医療機関等で受診した際の医療費の一部負担金等を助成しています。
今回の条例の一部改正には、ひとつの議案の中にふたつの大きな制度変更が含まれています。
ひとつは、障害者手帳4級を持っている方への医療費助成を2027年8月からとりやめることです。
もうひとつは、精神障害者保健福祉手帳2級を持っている方への自立支援医療部分に新たな医療費助成を始めることです。
障害者手帳4級を持っている方への医療費助成 が始まった1981(昭和56)年は国際障害者年でした。
当時の社会情勢は、第二次石油危機後の影響を乗り越えつつ、輸出の増加に支えられて経済は回復に向かったものの、世界景気停滞の影響で景気回復は緩やかであった頃です。その後、バブル期に向けて景気が上向いていきます。
現在も緩やかな回復期ですが、バブル後は長い間景気は低迷していました。
保健福祉常任委員会の9月の報告、12月の質疑の答弁で制度開始時の川越市の経常収支比率は66%であるとのことでした。財政に余裕があったことがわかります。
現在は、99%です。これからもこの医療費助成を維持できれば、救われる方が837人います そのうち129人は65歳未満で非課税であり 特に制度変更の影響を受けるのではと、心配されます(75歳未満は300人)。
この制度を詳しく見ていきますと、他市と比べて手厚く、川越市らしい政策として評価されてきました。一方で、同じ疾患でも要件に該当する場合と非該当の場合があること。障害に直接関係のない疾患に対しても助成しています。
11月28日に新聞報道で「身体障害者4級助成中止へ」という報道がありました。もうひとつの精神障害者保健福祉手帳2級を持っている方への助成については言及がありません。
福祉とは、全ての人が安心して生活できるように支援を行うことであり、そして、地域や社会に参加できるようにも支援が行われます。
「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」が2013(平成25)年4月から施行されました。障害のあるなしに関わらず、全ての国民が個人として尊重され、相互に尊重し合いながら共生する社会の実現を目指しています。利用者本位のサービス体系、サービス提供主体の一元化、支給手続きの明確化、就労支援の強化、安定的な財源の確保 がポイントとなっています。
そこで、市町村が責任を持って、一元的にサービスを提供することになりました。働きたいと考えている障害者に対して、就労の場を確保する支援の強化が進められています。とはいえ、障害者雇用率は2025年6月時点で民間2.42%です。人数では、70万人を超え、過去最高を更新しています。川越市は2.26%です(R4.6)。
利用者も利用したサービスに対して、所得に応じて費用負担することになりました。
また、福祉は住んでいる場所やで障害の違いで格差なく支援を受けられることも重要です。
精神障害者保健福祉手帳とは、精神疾患があるために、長期にわたり日常生活または社会生活上の制約(障害)がある方が、市に申請することにより県から交付を受けることができます。また、手帳を取得することで福祉サービス等を利用することができます。対象者は、一定の精神疾患(そううつ病・統合失調症等)のある方です。
自立支援医療は、精神通院のことです。精神障害者の早期治療及び再発予防等を目的として、精神科通院治療を受けるために医療費の一部を公費で負担する制度です。対象疾病は、統合失調症、気分障害、アルコール・薬物依存症、認知症、神経症、人格障害、てんかんなど。障害に関わる部分の医療だけ支援される制度です。
川越市には、精神障害者家族会 川越市やまぶき会があります。今年の6月26日に埼玉県の助成が精神障害者保健福祉手帳2級まで拡大したことを受けて、森田市長に申し入れをしました。『医療費の負担を心配せず必要な時に安心して受診し、医療の継続ができるよう「重度心身障害者医療費助成制度を」他障害と同等の制度にしてください』。
申し入れには多くの賛同された議員の方が出席してくださいました。心から感謝しています。
精神障害保健福祉手帳2級は障害の区分では中低度とされており、今回の条例改正に関係なく継続して助成が行なわれる、身体3級や療育手帳Bの方々と同等とされています。
要望には、精神障害者保健福祉手帳所持者は、収入が得られる仕事に安定してつくことが難しく経済的に厳しいこと。薬の副作用から精神科以外の病気にもかかりやすくなること。来年(2026年)1月からの助成を希望していること。全診療科の入院を対象にして欲しいことなどが 書かれています。
これまで、身体・知的障害に対する施策が遅れていることから、長年3障害差別なく支援されることを求めてきました。
川越市障害者団体連絡協議会からも要望が出ています。
今回の条例の一部改正にあたり、障害者団体さん同士の話合いでは、身体障害者手帳4級の方への医療費助成中止に対して気の毒だ という声が上がったそうです。
身体障害者手帳4級の方には、助成中止は再来年(2027年)の8月からとし、その間に等級の見直しや相談支援を行うと保健医療部では想定しています。
一方で、長年精神障害者保健福祉手帳2級の方への支援は行われないままでした。この議案が賛成多数で可決されたとしても、助成が始まるのは来年度4月からです。県からの助成は今年度1月から始まります。
川越市で制度ができなければ、県からの助成は受けられず、住んでいる市町村によって格差が出ます。
わたしたちのことを わたした抜きに決めないで。
川越市障害者支援計画の基本理念は『自分らしく、よりよく生きる 自立と共生のまちをめざして』です。 これらの意見を踏まえ、以上賛成討論とします。
